07 <<  1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30. 31. >> 09

スポンサーサイト 


--.--.--
--
--:--

  スポンサー広告

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
trackback -- |comment -- | 記事編集

go page top

海にねむる宝 precious 【RD】 


2008.09.07
Sun
02:48

  SSなど

どうにも悶々としてしまい、キャラと世界設定をつかむまでは手を出さない
決めていたはずのRD二次創作に手を出してしまいました…

久島少年の受賞ネタ、Webコミック#11ネタなど色々ぶっ込んでいるのですが、
どう見ても22話を踏まえているとしか思えない暗めの内容です。
それに、やっぱり口調とか思考シミュレートがいまいちしっくりいかないんだよな。。。

そんな中途半端なSSですが、一気に書き上げた勢いでupしちゃいます。
(ある程度量がたまったら、別にページを作るかもしれません)


以上を踏まえたうえでご覧になる方は、↓りあるどら~いぶ☆↓


南海に浮かぶ人工島の午後は、今日も穏やかだ。
気象までコントロールされた環境のもと、雨の心配をせずに過ごすことができる。
海に面したテラスで読書をするには格好のお膳立てと言えた。

「……まるで楽隠居だな」

読みさしの雑誌を閉じながら、自嘲含みの息がもれる。
いくら衰えた身体を突きつけられようと気遣わしげな手を差し伸べられようとも、
己の内なる認識との間に生じるズレは埋めようがなかった。
不定期に舞い込む仕事の依頼はあるものの、ここでの日々は概ねゆるやかに過ぎてゆく。
ゆったりと穏やかで──だからこそ、居心地が悪い。

「どうされました、マスター?」

気配を消すかのように控えていた女が柔らかに問いかけてきた。
けしてこちらの感情を害すことのない、計算された笑顔。

「いや、単なる一人言だよ。
 そうだな……ホロン、いつもの写真集を持ってきてくれないか」
「はい、マスター」

心得て本棚へ向かう後ろ姿を見送る。
──彼女はよくやってくれている。
(さすが、あの何事にも抜かりない男が差し向けただけのことはあるな)

今度は声に出すことなく心中に呟いて、視線を海に向けた。

なじんだ潮の香りが鼻腔をくすぐる。
それでも、どこか記憶にあるものと違うように感じるのは
島中にばらまかれた環境分子のせいか、はたまた変質して当然という
自分の思い込みからくる錯覚か。

心の天秤が再び陰のほうへ傾くのを感じ、かるく頭を振る。
この豪勢な住処に移ってからは沈み込むことのなかった物思いに、
足元を掬われそうになっていた。



「ずいぶんとこれが気に入ってるようだな。
 しかし、実物を目の前にして海の写真を眺めるというのはどうなんだ」

思いがけない声に鼓膜を打たれ勢いよくふり返ると、ホロンに言いつけたはずの
写真集をかざし、苦笑とも微笑ともつかぬ表情をした友人が立っていた。
片眉をあげてそれに応えながら、差し出された本を受け取る。

「だからこそ、オツなんだろう。これ以上ない贅沢じゃないか?」
「なるほど。では優雅なひとときの演出に一役買うためにも、お茶に呼ばれるとしよう」

独特の強引な論理を展開して、久島はテーブルを挟んだ脇の席に着く。
すでに指示が通っていたと見え、まもなくティーセットを携えたホロンがテラスに姿を現した。

元は公的機関限定で使用される統一規格だったはずの女性型アンドロイドは、
介助用・対人および対義体格闘プログラムに加えて美味い紅茶を淹れる技術まで
インストールされており、もはやその他大勢の「仲間」たちとは別個の存在だった。
──すべては、「マスター」の快適な生活へ寄与するために。
(まったく、至れり尽くせりだな……)

「なんだ、珍しいものを読んでるじゃないか。これは──おい、ハル!?」

卓上に置かれたままの雑誌をめくっていた久島が、突然あわてた口調になる。
泡を食ってこちらを見据える姿は今や超然とした空気を纏う電理研の統括部長
などではなく、まさしく自分の知る友人そのものだった。
ふと揶揄いたくなって、もったいぶった説明をしてみせる。

「中央図書館の膨大な蔵書を検索するのは、かなり骨がおれたよ。
 でも、苦労に見合う成果は得られたと思う。なあ、久島永一朗君?」
「おまえ……見たのか?」
「それが目的だったんだからな、当たり前だろう」

66年前に発行されたクラシック系の音楽誌を久島の手から奪い取り、
ニイハマ国際バイオリンコンテストのページを広げる。
色褪せたグラビアに収まる優勝者は線が細く、まだ少年と言っても差し支えない年頃だった。
それだけでも成果としては充分すぎるくらいだったのだが、
併せて載せられていた彼のコメントがまた、ふるっていた。

『もうやるべきことはすべてやりつくしました。
 僕にとって音楽とは、僕の歩むべき道ではないのかもしれません。
 ただ音楽から得たものは僕の人生の大きな糧になったことは言うまでもありません。
 今回の優勝は、音楽に対する恩返しと思い、有難く受けさせていただきます』

「かっこいいじゃないか。僕も一度くらいは、こんなセリフを言ってみたいものだ」
「茶化さないでくれ。──だいたい、なんだってそんなものが中央図書館に残っているんだ?
 玉石混交もいいところじゃないか、管理が甘すぎる」
「おいおい、それは言い過ぎだろう。
 この雑誌だって、クラシックファンにとっては貴重な品かもしれないんだから。
 ……まあ、きみの信奉者にとっても同じなことは、間違いないだろうがね。
 とすると、いっそどこかへ厳重にしまっておいたほうが騒ぎを起こさずに済むのかな?」
「ばかばかしい、」

言い捨てたかつてのバイオリニストは、2杯目の紅茶へ没頭することに決めたらしい。
ティーカップを傾ける横顔は、それ以上の話題継続を拒否していた。



「──メタルは、今もきみの『道』かい?」
「どうした、急に」

青みがかった瞳は訝しげだが、あくまで穏やかで包容力さえ感じさせるものだった。
傍でハラハラさせられることもあった往時の尖りぶりは、影を潜めている。

「いや……きみのことだから、そろそろやり尽くしている頃なんじゃないかと心配でね」

冗談めかしたものの、それは本心から出た言葉だった。

これだけ多彩な才能にあふれた男だ。
音楽や科学ばかりか、嘘か誠か幼い頃には日舞で評判をとっていたとも聞く。
何事もなく順調に彼自身の道をたどっていたら、もしかして今頃は
とっくにメタル以外の分野へ歩みを進めていたのではないだろうか。
──50年もの間その身を縛りつけた重しさえなければ、あるいは。

だが、祈るような思いを向けた相手はこちらのわだかまりを知ってか知らずか、一笑に付した。

「まさか。海は広大だ、私ごときがいくら足掻こうと、やり尽くすことなどあるはずもない」

これが演技だとしたらアカデミー賞(まだこの時代にも存在するのだろうか?)
ものだと請け合えるような、晴れやかな笑み。
となればもう、軽口で応じるしか手段は残されていなかった。

「それは、60年でずいぶんと殊勝になったものだ」
「年の功というものさ。
 だいたい、若気の至りを取り上げて人を浮気性扱いするのはやめてほしいな。
 単に音楽は違ったというだけの話で、メタルやその素となる海こそが、
 私の『道』だったのだから」

そう言って、久島は眼前に広がる海へ視線をめぐらす。
愛おしむように彼方へ向けられた横顔は、記憶にあるものと何も変わらない。

「おまえとは違うルートかもしれないがな、
 今も海を求めていることに関しては私も同じだよ、波留」
「そうか、」


  終

thread: RD 潜脳調査室 / genre: アニメ・コミック

trackback(0) | comment(0) | 記事編集

go page top

« こどものケンカか! - TURN 21 ラグナレク の 接続  | h o m e |  大失敗! »

コメント

go page top

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://dfreenote.blog64.fc2.com/tb.php/24-82a040cc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。