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その日 1007 【RD】 


2008.10.13
Mon
03:14

  SSなど

下で宣言した、久島お誕生日ネタです。

誕生日だからというのもありますが、オチを踏まえているせいで
思う存分(自分目線では)久島を甘やかしてみました。それはもう、ベタなほどに。
本当は、そろそろ視点を変えたいところだったんですが、話の構成上それも無理で;;


注意点としては、書いた本人が驚くほど今回は甘々なことになってます(あくまでも当社比)
ぶっちゃけますと、カプ前提の話です。
どうやら26話を再生しまくってるうちに、いつのまにか心の境界線を超えていたっぽく…あはははは

ただ、直接的な描写とかは相変わらず皆無なんですけどね!(開き直った)


いやもう、バトンに答えたときも思ったんですが、
改めて自分の腐としてのアイデンティティには疑問を抱かざるを得ないというか。。。

とにかく、今はこれが精いっぱいです↓



いくら予測技術が発達しようと、百発百中とはいかないのが天気の常。
特に最近は、長年蓄積されたデータも経験豊かなプロの勘も意義を失わせるほどの
異常気象が度重なり、むしろ予報の精度は下がる傾向にあった。

今回の観測航海でもこうした類いの悪影響をくらってしまい、
予想外の天候不順から計画はずれ込む一方だった。
満足にデータを採れないまま洋上で時間だけがむなしく過ぎ、結果として帰港日も延ばされる。
はじめの頃こそ冗談まじりの文句を言いあう余裕もあったのだが、
スケジュールが押していることもあり船内はどんどん重く張りつめた空気に支配されてしまった。

船内活動組ですらそんな状態なのだから、まともに潜れず待機させられっぱなしの波留は尚更だ。
明日こそとの願いも何度となく裏切られ、フラストレーションが溜まるばかり。
──だから、これは一種の息抜きとも言えるわけだ。
誰にともなくそう取り繕い、観測室の扉を開ける。

案の定、機器に囲まれた部屋では久島が一人居残っていた。
眉間にしわを刻ませて、どうやら数少ないダイブで得た記録から
使えそうなデータをなんとか拾いだそうと試みているらしい。
思索に没頭するあまり気付かれていないのをいいことに、
たっぷりその姿を目に焼きつけてから声をかける。

「元データが少なすぎるんだ、いくらここで頑張っても
 骨折り損になりかねないんじゃないのか」
「そうはいっても、空手で戻るわけにはいかないだろ……うん? 波留か、」

ディスプレイへ目を落としたまま反射的に応えてきた久島だったが、
途中で違和感を覚えたとみえ顔を上げた。
途端に、渋面がやわらかな笑みへ取って代わられる。
何度見せられても腹のあたりがくすぐったくなるほどに、鮮やかな変化だった。

差し伸べた手とともに発せられる、声まで甘く響く。

「どうした。──運動不足で寝つけないか?」
「安心したよ、時間の感覚はあるんだな一応。
 だけど、そのくらいにしたらどうだ。もう日付が変わってるぞ」
「ああ……そうだな。たしかに、ちょっと根を詰めすぎた」

近付いた波留の頬に指をすべらせ、苦笑する。
そうして目尻にしわが寄るのを認め、思わず波留のほうも手を伸ばした。

「そうそう、久島はもう少し笑ったほうがいいよ。
 あんまり眉ばっかり寄せてると、頑固爺さんの道まっしぐらだからな」
「四六時中ニヤニヤしてるわけにもいかんだろう。しかし、『爺さん』とは酷いな」

眉間をぐりぐり押さえられながらも、久島が器用に顔をしかめる。

「まあ、ちょっと早いかもしれないけどさ。案外なってみたらすぐでした、なんてことだって
 あるかもしれないんじゃないか。──気がついたら三十路になってるのと、同じように」

最後の部分は低くささやいて、ディスプレイに表示されているカレンダーの箇所を指さす。
現在の日付は「2008/10/07」

「誕生日おめでとう」
「──すっかり、忘れていた……」

何事も先の先を読んで用意を怠らない男が、珍しく放心したようにつぶやくのが妙に嬉しくて、
背後から回していた腕をきつく狭め肩に顎を乗せてみる。

「こら、」

やんわり押しとどめられ、しぶしぶ身を起こした。

船上では、なるべく友人モードで接する約束だった。
限られた空間での共同生活で周囲に感づかれてはコトだし、
何よりそんな環境で互いに収まりがつかなくなったら厄介このうえない。

「だけど、今夜くらいは忘れてみないか」
「おまえ……何を企んでいる?」
「たいしたことはしないって。ただ、ちょっとつき合えよ」

警戒をにじませる口調には気づかないふりをして、パソコンを待機状態に移行させる。
狙いどおりに、抗議の声はあがらなかった。





さりげなさを装って上司兼親友兼恋人の腕をとり、通路へ出た。
こんな夜更けに船内をうろつくスタッフなどほとんど居ないと承知しているからか、
相手は素直に従ってくる。
──あるいは、下手に騒いで大事になるよりは、との計算がはたらいた末かもしれないが。

周りに気を配りつつ無言で夜の廊下を歩くのは、子どもの頃にこっそり校舎を探検した
記憶に似て、それだけで興奮する行為だった。
つかんだ右手を戯れに握りしめると、一瞬の緊張の後に同じ強さで握り返された。

「──食堂?」
「いや、冷蔵庫にね……」

高揚感が伝染したのか、久島の問いも小声ながら弾んでいる。
つられて忍び笑いをもらしながら、冷蔵庫の奥に潜ませていた缶ビールを取りだしてみせた。

原則として観測船への酒類持ち込みは禁止なのだが、
望外に良いデータが採れたり長い航海が最後の夜を迎えたりした際に
1杯だけ祝杯をあげることは半ば慣例として黙認されていた。
だから主任殿も、ビールが秘蔵されている事実については殊更目くじらを立てなかった。

「しかし……、これに手をつけるのは問題じゃないか?」
「大丈夫。お祝い用のストックじゃなくて、俺が個人的に持ち込んだぶんだから」
「おい波留、それでは尚悪い」
「そう堅いこと言わないで。非常用のつもりが入れっぱなしになってたからさ、
 そろそろ開けなきゃまずいと思ってたんだよ。だから、いいだろ?」
「仕方のないやつだな……。ただし、1本だけだぞ」
「せめて1本ずつにしたいところなんだけどなあ。──ま、こっちも妥協しますか」

常夜灯だけの薄暗がりのなか、額をつき合わせて笑み交わす。
さすがに手は放していたが、誰かに見とがめられたら言い訳が必要な姿かもしれない。
ひそひそ声の交渉が成立したところで、1本だけ抜き取ったアルミ缶を手に振り返った。

「さて。ここで一杯っていうのもなんだし、場所を変えようか?」
「こんなところで呑んでいるわけにもいかないのは確かだが……私の部屋は却下だからな」

睨むような強い視線だったが、目元が赤いのは怒りではなく戸惑いと照れから来るものだと
波留には解っていた。
そもそも釘を刺されるまでもなく、こんな雰囲気のまま久島の私室を訪れようものなら
歯止めが利かなくなりそうだと、理性が激しく警鐘を鳴らしている。

「それには俺も同意します。……本当に、主任が個室なのも善し悪しだよなあ。
 お膳立てが整ってるのにおとなしくしてなきゃいけないなんて、拷問に近い」
「ぼやくな、お互いさまだ」

なだめるように腕を押さえられた。

「はいはい。それじゃ、上に行こうか?
 ちょうど波が収まって雨もあがってたみたいだし」

どちらともなく足音を忍ばせてデッキへ上がる。
道すがら調達した防水シートを機材やクレーンの間にできたスペースへ広げ、
ささやかな宴席を張った。
腰を下ろすなり缶ビールを掲げ、ニッコリ笑ってみせる。

「では改めて。──久島、30代突入おめでとう!」
「なるほど、それが目的だったというわけか……お気遣いいたみいるよ、まったく。
 せいぜい2年後のお返しを楽しみに待っているんだな、波留」
「おまえ、なんか悪役のセリフになってるぞ……」
「うるさい、さっさと寄越せ。私の祝いなんだろう?」
「うわ、ちょっと待てよ」

プルトップに指をかけたところでもみ合いになり、勢いよく吹きだした泡が互いの袖を濡らした。

「「…………」」

思わず顔を見合わせ、次の瞬間にはこらえきれず2人して声をあげて笑う。
渡されたハンカチでざっと手を拭い、なかなか鎮まろうとしない笑いの衝動に
肩を震わせながらもなんとか缶を差し出した。
久島は受け取った重みからこぼしたぶんの体積を推し量ったらしく、
低く悪態をついて一口呷る。

「……しかし、誕生祝いに缶ビールとはな。
 せめてシャンパンの1本くらい調達してほしいところなんだが」
「ほんとなら今日は陸に上がってる予定だったんだから、しょうがないだろ。
 それに、これだって炭酸にはかわりないじゃないか」
「おまえはどうも、大雑把すぎる」

一口ずつ回し飲みながら、笑い含みに小突きあう。
2人ともコップ1杯程度のビールで酔うほど酒に弱くはないので、
そう時間もかからず500ml缶は空になった。

「──波留、助かったぞ。明日は晴れそうだ」

弾んだ声にうながされて頭上を仰ぐと、いつのまにか雲は切れて降るような星空が広がっていた。
南洋で目にする星座は、見慣れたものと少し違う。

「すごいな、」
「ああ……」
「見事すぎて、なんだかプラネタリウムを眺めてるみたいだ。
 こんな空から作り物を連想するなんて、おかしな話だけど」
「南十字だのカノープスだのいっても、我々にとってはなじみの薄い星ばかりだからな」

つむいだ言葉とは裏腹に、満天の星々を見上げるその表情はどこか熱を帯びている。
いつもは海に向けられているのと同じような。
波留は飲み干したはずの缶をいじりながら、こっそり傍らの横顔に見惚れることにした。





人工島の海岸は、今夜も穏やかな姿を見せている。
必要最小限なレベルまで落とされた照明の下、黒々とした波が静かに砂浜へうちつける。
一見平和そのものだが、これは多くの人々が払った努力と犠牲のもとに守られた風景だった。
──とりわけ、彼の。

「やあ、」

浅瀬に膝まで浸かり左手のダイブコンを確認してから、波留は持参した瓶のコルクを抜く。
吹きあがる細かな泡がこぼれるにまかせ、呑み込ませた。
海へと。

「ご所望のシャンパンだ。……遅くなってすまないが」

告げて、瓶を逆さにする。
徐々に量を減らしてゆく中味に湧いた気泡の列が、南の星を映してきらめいた。

「誕生日おめでとう、久島」

甲板の上、缶ビール1本を分けあった夜の記憶は生脳とはいえ深く刻まれており、
まだ確かなままだった。
それに波留自身の感覚では、ほんの4年前の出来事でしかないのだ。

(なのに、随分と遠くにきてしまった。時間も、距離も──)

余人の及ばぬ深層で、今も自分を待っている男に思いをはせる。
──いや。
いっそのこと、眠っていてくれればいい。
そうしたら、もう待たせずに済む。

「経験者は語る、さ。眠ってしまえば、ほんのちょっとの間だよ。だから……、」

今は おやすみ

唇だけでつぶやいて、まぶたを閉じる。
そのまま、夜更けの海に佇んでいた──。


  

thread: RD 潜脳調査室 / genre: アニメ・コミック

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